イーサリアムの大型アップグレード「The Merge」、各社が対応方針を表明

2022.08.17

暗号資産イーサリアム(ETH)の大型アップグレード「The Merge(マージ)」の実装およびPoWフォークに向けて各暗号資産交換所が対応方針を表明している。

イーサリアムのアップグレード時期が近づき、コミュニティの議論も徐々に活発化しており2つのシナリオが想定されている。1つはアップグレード後、現在の演算能力は他のブロックチェーンネットワークの支援に回るというものである。もう1つはハードフォークを行ってフォーク後もPoWのコンセンサスアルゴリズムを使い続けるとするものである。後者では、PoSとなるイーサリアムのブロックチェーンとPoWとなるイーサリアムのチェーンが生まれることになる。

仮にハードフォークが実行されると、フォークトークンが発行される。実際に一部の大手マイナーがマージ後もPoWチェーンを採掘し続けるとしており、ハードフォークさせる見通しは高まりつつあるようだ。これにより、従来のETHだったシンボルは、ETHSを新しいPoSチェーンのトークン名称に、ETHWをPoWチェーンのトークン名称とする動きも広がっている。

大手暗号資産交換所バイナンスはマージに対応し、新しいフォークトークンが発生した場合は配布と出金に関するサポートを行う予定だが、新規トークンを取り扱う保証はないという。今後、詳細な情報や最新情報を開示するもよう。バイナンスのほか、OKXはフォークトークンの取扱いについて需要があれば上場を検討するという。

FTXもマージに対応して「ETH」というティッカーシンボルはPoSのイーサリアムに充てるという。ハードフォークによる新規トークンの発行は、配布と取扱に関する対応を評価する予定としているが、実際の配布はプロジェクトが完成した後に実施されるようだ。フォーク版ETHの取扱については進展を踏まえた上で評価する。コインベースはハードフォークの対応については表明してない。一方、BitMEXやPoloniexは既にイーサリアムのPoW関連の取引を提供している。

国内では、フォビジャパンがマージ対応を表明。アップグレードが成功し、フォークが対応した場合、アップグレード前のETHのスナップショットを取得し、ハードフォークが成功した際にはETHは1:1の割合でETHSに自動的に変換されるようだ。この際、ETHという名称は削除される可能性があるという。仮に、フォークが対応されない場合はETHを使用し続けるようだ。なお、「ETHWの取扱い開始のためには、日本暗号資産取引業協会(JVCEA)の承認が必須となり、承認が得られない場合は付与などの対応ができない可能性がある」と説明している。

今月テストネットGoerliでのマージ実装が完了したことで、9月頃に予定されたメインネットでのThe Merge実装が行われる可能性がある。The Mergeの実装により、開発者及び投資家はイーサリアムネットワークのエネルギー効率と利用コストが大幅に向上することを期待しており、暗号資産市場では最大の注目が集まっている。

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