財務省、外為法の資本取引規制の対象に暗号資産を加える方針を示す

2021.11.18

2021年11月18日 14:00 JST 時点

財務省は、11月16日、関税・外国為替等審議会の分科会を開き、暗号資産について、外為法の資本取引規制の対象に加える方針を示した。FATF第四次対日審査にて指摘を受けたマネーローンダリング対策強化のため、国連安全保障理事会決議に基づく制裁の対象者に対して、銀行の預金取引と同様に暗号資産も資産凍結ができるようにする。

FATF第四次対日審査において、日本は「通常フォローアップ国」の一段下の「重点フォローアップ国」と位置付けられており、⾦融機関等に対する監督や、マネロン・テロ資⾦供与に係る捜査・訴追等に優先的に取り組むべきとされた。今回の方針は、こうした指摘に対する対応の一環と見られている。

同日、財務省から発表された「FATF第4次対⽇審査結果と外為法における対応」によると、下記3つの観点から、外為法を見直すこととなった。

⃝ 北朝鮮の核・ミサイル開発の進展やアフガニスタン情勢の悪化等により、テロや⼤量破壊兵器の拡散防⽌は、⽇本のみならず、国際社会において喫緊の課題

⃝ また、ブロックチェーン技術の発展により、匿名性の⾼い暗号資産を悪⽤した不正な資⾦調達等のリスクが顕在化

⃝ こうした脅威やリスクが⾼まる中、FATFは、国連安保理決議に基づく資産凍結措置の適切な履⾏の確保を勧告。また、FATF第4次対⽇審査では、銀⾏等や暗号資産交換業者がFATF基準に従い、資産凍結措置に係る義務を果たせるよう、⽇本の制裁枠組みにおける義務を明確化すべきと指摘

財務省は見直しの方向性として、3点挙げている。

1.暗号資産取引を外為法上の資本取引規制の対象に追加

銀⾏等の預⾦取引等と同様に、居住者と⾮居住者との間の暗号資産に関する取引を資本取引規制の対象とし、資産凍結措置を可能とすることを検討。

2.暗号資産交換業者の確認義務

2019年6⽉に改訂されたFATF勧告は、制裁対象者への資⾦その他資産の流れを遅滞なく⽌めることについて、銀⾏等に加えて暗号資産交換業者に対しても要請。外為法上、銀⾏等が取扱う顧客の送⾦については、制裁対象者に対する送⾦に該当しないことを確認する義務が課されているが、暗号資産交換業者が⾏う顧客の暗号資産の移転については、このような確認義務が課されていないことから、暗号資産交換業者が⾏う顧客の暗号資産の移転について、制裁対象者に対する移転に該当しないことを確認する義務を課すことを検討。

3.資産凍結措置遵守のための態勢整備義務

 銀⾏等や暗号資産交換業者等による、資産凍結措置の適切な履⾏を確保するため、制裁潜脱リスクの評価を⾏うことや、その低減措置を講ずることを含めた遵守基準を定める。また、 当局が、銀⾏等や暗号資産交換業者等による同基準の遵守状況についてモニタリングを⾏うとともに、必要に応じ、指導・助⾔や勧告・命令を⾏うことができるようにする。

なお、FATFとは、マネーローンダリング・テロ資金供与対策の国際基準(FATF勧告)を策定し、その履行状況について相互審査を行う多国間の枠組みのことである。1989年のアルシュ・サミット経済宣言を受けて設立された。現在、G7を含む37カ国・2地域機関が加盟しており、その他9つのFATF型地域体を加えると、FATF勧告は、世界205の国・地域に適用されている。

======

※当サイトにおいてお客様に提供されるニュース、データ及びその他の情報は、一般的な情報提供を目的に作成されたものであり、暗号資産取引の推奨やアドバイス、暗号資産取引の勧誘を目的としたものではありません。暗号資産取引に関する意思決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようお願いいたします。

※当サイトの情報の利用によって生じうるいかなる損害について、当社及び本情報提供者は一切の責任を負いません。

※当サイトは当社が信頼できると判断した情報を元に提供・作成しておりますが、その正確性、適切性、真実性、信頼性、有用性または完全性について、当社又は本情報提供者が保証するものではありません。

※当サイトの提供している情報は、過去の実績または作成時点での分析であり、将来の市場環境の変動や運用状況、成果を示唆・保証するものではありません。

※当サイトに関する著作権、知的所有権、その他一切の権利は、当社または本情報提供者その他の権利者に帰属します。お客様は、本資料に表示されている情報をお客様自身のためにのみ利用するものとし、第三者への提供、再配信、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。

※当サイトに掲載された情報は、予告なしに内容が変更または廃止されることがあり、また当社は更新する義務を負いません。

※当サイトではお客様の利便性を目的として他の外部サイトへのリンク(参照先URL等を含み、以下「外部サイト」)を表示する場合があります。お客様が当サイトまたは当サイトからリンクされた外部サイトで行った行動について、当社は一切の責任を負いません。お客様が外部サイトの利用を行う際は、当該外部サイトが定める各規約に従ってください。

商号:株式会社カイカエクスチェンジ

暗号資産交換業者:近畿財務局長第00001号

加入協会:一般社団法人日本暗号資産取引業協会(認定資金決済事業者協会)

======

筆者一覧

 
人気の記事

最近の記事

SNSでシェアする

タグ一覧

ピックアップ