MegaETH、リアルタイムブロックチェーンの実現へ:次世代のWeb3エコシステム構築への挑戦
2024.10.29
以下は、フィスコ・マーケットレポーターのタマラ・ソイキナ(X@web3tama / 以下、タ)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。
最近、日本の仮想通貨(暗号資産)取引所で新たな海外の良質なブロックチェーンプロジェクトが上場される事例が増えてきました。このインタビューでは、日本ではまだあまり知られていませんが、世界的に注目を集めるLayer2ブロックチェーン、MegaETHの開発チームにお話を伺いました。今回は、MegaETHの共同創設者兼最高事業責任者(CBO)のシュヤオ・コン氏(以下、シ)にインタビューを行いました。
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※2024年10月28日執筆
タ「まず、MegaETHの概要について教えていただけますか?」
シ「MegaETHは、世界初のリアルタイムブロックチェーンです。毎秒10万件のトランザクションを10ミリ秒未満のブロック時間(レイテンシー)で処理することが可能です。この性能により、Web2アプリケーションに匹敵する使用感を維持しながら、コンポーザビリティ、パーミッションレス性、検閲耐性といったクリプトの利点を提供できます。私たちは、MegaETHの真価は『MegaMafia』を通じて発揮されると考えています。これは、完全にオンチェーンで動作するリアルタイムアプリケーションの開発を支援するビルダー向けのプログラムです。このプログラムでは、全く新しいユースケースの創出や、既存の暗号資産の基礎的な要素の大幅な改善を目指しています。」
タ「MegaETHの創設背景とビジョンについてお聞かせください。」
シ「私たちは、高速で低コストかつスケーラブルな実行環境を、最も安全で分散化が進み、堅牢なレイヤー1であるイーサリアム上に構築することで、新しいオンチェーン体験を提供したいと考えています。このビジョンにより、金融、ソーシャル、決済、ゲーム、自律型インフラ、物理インフラ、ライブコンテンツなど、さまざまな分野において革新的なアプリケーションを支える、信頼性の高い価値ある次世代インフラの実現が可能になると信じています。技術アーキテクチャの観点から、MegaETHの創設者たちが共感したのは、コンセンサスやデータストレージといった『一般的な』ボトルネックではなく、実行レイヤーに焦点を当てることでした。」
タ「技術的な特徴や革新性について、詳しく教えていただけますか?」
シ「私たちは最大限のパフォーマンスを実現するために、EVMの実行層を一から再設計しました。まず、ネットワーク内の各ノードが異なる役割に合わせたハードウェアで動作するよう、ノードの役割ごとに最適化された構造を採用しました。たとえば、トランザクションの高速処理を担当するシーケンサーは高性能なサーバーで稼働する一方で、ブロックの正確性を検証するフルノードは、一般的なPCなど手頃なハードウェアでも対応でき、シーケンサーのペースに合わせて処理が進められます。この設計により、コストを抑えながらもネットワーク全体のパフォーマンスを高めています。ユーザーが素早くトランザクションを完了できるように、独自のEVMエンジンを設計しました。このエンジンは、バイトコードをすぐに実行できる仕組みや、優先度に応じて効率的に処理する仕組みが含まれ、データを軽く保ちながらも確実に処理できるようになっています。また、シーケンサーから世界中のフルノードに、最新の情報を効率よく送信する新しい仕組みを取り入れました。これにより、フルノードも常に最新情報を持ち、システム全体での応答がさらに早くなります。」
タ「他のプロジェクトとの違い、競合優位性を教えてください。」
シ「MegaETHは、パフォーマンスの制約を受けることなく、リアルタイムで有益なアプリケーションを実現するための明確なアプローチを持っています。その主な特徴は次の3つです。高パフォーマンスを優先した設計:MegaETHは、必要なパフォーマンスを確保するために設計上の工夫を施し、セキュリティはイーサリアム(決済)やEigenDA(データ可用性)などのベースレイヤーに頼ることで達成しています。ユニークなアプリケーションへの集中:MegaMafiaプログラムを通じて、MegaETHでしか実現できないアプリ(「OMEGA」と呼ばれるカテゴリー)に焦点を当てています。誰でもエコシステムを構築可能ですが、プログラムは既存のプロジェクトの模倣や、新しい価値を提供しないアプリを避けています。
リアルタイムアプリを支える低レイテンシー:私たちのスケーリングアプローチは、実用的なリアルタイムアプリケーションに基づいています。ネットワークのスループットを最適化するだけでなく、1〜10ミリ秒の低いレイテンシーを実現。ユーザー数に関係なくすべての操作に影響し、他の最速チェーンと比べても20〜200倍の高速化を達成しています。」
タ「なぜMegaETHはノードをシーケンサー、プルーバー、フルノードの3種類に分類しているのですか?」
シ「典型的なLayer 1ブロックチェーンネットワークでは、多くの参加ノードが新しいブロックの処理を終える必要があり、最も遅いノードに依存するため、これを「ストラグラーの問題」と呼んでいます。このため、全体の処理速度が遅くなるのです。また、ノードは世界中に分散しているため、同期を保つのにも遅延が発生します。これらの課題を克服するために、MegaETHではL2アーキテクチャを最大限に活用しています。具体的には「ノードの専門化」という手法を取り入れています。これは、異なるタスクを持つノードが異なるハードウェアで動作することを可能にするものです。具体的には、トランザクションの処理や実行といった重いタスクは、高性能なサーバーで動作するシーケンサーに専門化されており、一方で再実行や検証といった軽いタスクは、低いハードウェア要件で動作できる他のタイプのノードに専門化されています。このアプローチにより、ネットワーク全体のパフォーマンスが向上し、よりスムーズな処理が実現されています。」
タ「今後のロードマップはどのようになっていますか?」
シ「11月末頃にパブリックテストネットをリリースする予定で、その準備に注力しています。さらに、2025年Q1にメインネットの立ち上げを目指しています。」
タ「どのようなプロジェクトでの活用を期待していますか?」
シ「私たちは、比類のないユーザー体験を備えた全く新しいユースケースをオンチェーンにもたらすプロジェクトの実現を目指し、そのための最適化を進めています。エコシステムの目標は、独自のアプリケーションを提供し、リアルタイムブロックチェーンの可能性を最大限に引き出すことです。具体的には、MegaETHでは以下のようなアプリケーションを想定しています。例えば、完全にオンチェーンで動作するゲームや、高頻度取引プラットフォーム、超効率的なマネーマーケット、ライブフィードバックに基づくストリーミングやゲーム、非常に短期間での予測市場、さらにはDePIN関連のアプリケーションなどです。」
タ「最後に、日本の読者へメッセージをお願いします。」
シ「MegaETHにおいて、グローバルなコミュニティはプロジェクトとそのエコシステムの形成において重要な役割を果たします。日本は私たちにとって非常に親しみのある国であり、最近MegaETHのメンバーが初めて顔を合わせた際に、日本文化への敬意と憧れを強く感じました。将来的には日本を訪れ、その魅力を直接体験したいと考えています!ユーザーやビルダーの皆様、ぜひ公式ウェブサイトからDiscordコミュニティにご参加ください。また、私たちのアプリケーションを体験していただけることを心待ちにしています。これらは皆様にとって本質的に有益なものであり、クリプトの力を実感しながら、その楽しさに魅了されることでしょう。皆様からのフィードバックをお待ちしております!」
タ「貴重なお話をありがとうございました。MegaETHの今後の展開に大変期待しています。」
以上