イーサリアム、「The Merge」の実装が完了

暗号資産イーサリアム（ETH）は15日、待望の大型アップグレード「The Merge（マージ）」の実装が完了した。メインネットの「マージ」実装に向けて、これまでにRopsten、Sepolia、Goerliなどの複数のテストネットで「マージ」が実施されてきた。 

今回のメインネットでのアップグレード成功により、イーサリアムネットワークのコンセンサスアルゴリズムが従来のプルーフ・オブ・ワーク（PoW）からプルーフ・オブ・ステーク（PoS）へ無事に移行した。PoSでは、ステーキングされたETHの合計数とステーキング時間に比例して、バリデーター（検証する者）が無作為に選出される。PoSのバリデーターはネットワーク維持のためにPoWのようにブロックをマイニングする必要はなく、選ばれた時にブロックを生成し、それ以外の時には他のブロックをバリデート（検証）する。

報酬は、ネットワークによってバリデーターのステーキングしているETHに応じて分配される。バリデーターとなるには、技術的知識などが必要だが、32ETHという最低要件を満たせば誰でも参加できる。

マージ実装後、イーサリアムネットワークではマイニングが停止し、ブロックはバリデーターによって生成されている。また、暗号資産ETHの新規発行ペースが約90%減少することになるほか、ネットワークのエネルギー消費量が少なくとも99.95%削減すると予測されている。イーサリアムの創業者であるVitalik Buterin氏は自身のツイッターで「マージにより、世界の電力消費量が 0.2% 削減されます。」コメントしている。

なお、マージ実装から数時間後、従来のPoWを存続させるためにマイナー主体の暫定ガバナンスグループ「EthereumPoW」がハードフォークを実施した。PoWとなるイーサリアムのチェーンが存続して暗号資産「ETHW」が生成された。ETHWはOKXやFTX、Bybitなどに新規上場している一方、分散型取引所Uniswapを初め、「BAYC」などNFTコレクションを手掛けるYuga Labs等はETHWをサポートしないと表明している。また、イーサリアムクラシック (ETC) のマイニングに移行しているマイナーも存在している。

マージ実装はイーサリアムエコシステムにとって大きな瞬間となった。ただ、ETHの価格は大きく動かず、現在は事実売りが優勢となっており軟調な展開続いている。マージ後も更なるアップグレードを控え、イーサリアムが成長していくことが期待されており、今後の動向にも注目が集まりそうだ。

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